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一般質問

2017年9月議会 一般質問 前川なお

2017-09-15
日本共産党議員団の前川なおです。通告にしたがいまして一般質問を行います。
 
 みなさんは自分の老後の暮らし向きがどんな風であるか、あるいはどうありたいとイメージしているでしょうか? お金の不安なく自分らしく生きられる幸せな人は、どのくらいいるでしょうか。
 
 本来、長寿は喜ばしいことです。
しかし、いまの日本社会に広がる「老後破産」「介護難民」「孤立死」といったキーワードを見ると、高齢者を取り巻く環境は厳しさを増していると言わざるを得ません。
国民年金は満額でも月額6万5千円です。年金は減らされる一方で医療費や介護のお金は上がっていく。
食費を削り電気水道ガスを節約し、年金支給前は病院に行くことさえもがまんして、買い置きのソーメン、ご飯だけでしのぐという高齢者も少なくないと聞いています。
こんな爪に灯をともすような暮らしぶりは、憲法25条がうたう「健康で文化的生活の保障」とはほど遠く、「長生きを喜べる社会」とは言えません。
 
 介護を取り巻く環境は、いまや在宅介護の約半分が、65歳以上が介護を担う「老老介護」の状態にあるといわれています。老老介護の中でも、認知症の要介護者を認知症の介護者が介護している「認認介護」も、今後増加していくでしょう。
 独身の娘や息子が親の介護を担う「シングル介護」も増えています。子どもが「介護離職」をした場合、生活は親の年金に頼ることになります。
 いつ終わるとも知れない介護。先細りしていく蓄え。その先には不安しかないのではないでしょうか。
 
介護保険制度は3年ごとの改定のたびに使いづらい制度にされてきました。
保険料は引き上げられ、報酬単価は引き下げられてきました。そもそも高齢者人口が増加し介護サービスを使う人が増えるほど保険料に跳ね返るという仕組みそのものがひどいものです。介護従事者の処遇改善で加算はありましたが、それも利用者に負担を強いるものです。
 
知り合いの高齢の女性は、「介護保険なんてまったく使ってないのに、あの高い保険料何とかならへんの?」と不満をこぼされていました。これが多くの高齢者の声です。
来年は保険料のさらなる値上げが予想されます。これ以上の値上げは、高齢者の厳しい暮らしに追い打ちをかけるものと認識し、保険料の軽減策を次期事業計画に盛り込むことを求めます。
 
 介護保険サービスを利用するにも、財布と相談になります。介護度の重い人はより日常生活で支援が必要ですが、サービスを受ければ受けるほど利用料の負担も増えます。
体調悪化などで週1回デイサービスの利用を増やしたいと思ったら毎月2000円、週1回1時間ヘルパーさんに入ってもらいたいと思ったら月約1300円の新たな負担が必要です。その額が払えない高齢者が少なくないのです。
 
 一つの例として80代のAさんのケースを紹介します。
Aさんは要支援1。サービス付高齢者住宅で生活し、週1回デイサービスを利用していました。この6月に体調が急変。ひとりで歩くこともトイレに行くこともできなくなったため、ケアマネジャーが週1回1時間のヘルパーを追加利用してはどうかと提案しました。
Aさんは厚生年金で月々約12万円の収入があります。そのほとんどが住居費、医療費、食費に消えるため、新たに1300円のヘルパー利用料を支払うことは困難でした。
 
Aさんの一人娘は難病を抱え経済的な支援はできません。ですが娘さんが無理をしてAさんの介護をされました。結果、共倒れになってしまったのです。
 Aさんは今後、介護認定の区分変更を申請し、特別養護老人ホームへの入所申請を行う予定とのことです。多床室に入所できれば経済的な余裕もでてくるでしょう。
 
しかしその特別養護老人ホームは、どこも空きがありません。本市では460人前後の高齢者が入所待ちの状況です。第6期介護保険事業計画の利用見込みに対して整備が追いついていないのであれば、次期事業計画に改善点を盛り込む必要があると考えます。
低所得で在宅介護が困難なケースなど、施設入所が必要な高齢者が利用できるよう整備すべきです。
 
 介護保険制度の改定を前に、市として、高齢者の暮らしをどう守っていくかが問われます。
戦後の混乱期から日本の高度成長期を支えてきた高齢者が「長生きできてよかった」と思える社会をともに目指し、保険料・利用料の負担軽減など高齢者の生活実態に即した施策の展開を求めます。
以下、見解を問います。
 
一 高齢者の生活がより厳しい状態に追い込まれている中で低所得者への保険料・利用料の負担軽減が必要です。見解を問います。
 
一 国の制度改悪はひどいといわざるを得ません。市として、これ以上の被保険者への負担増の中止と人材確保も含め適切な財政措置を講じることを国に要望してください。
 
一 施設入所が必要な高齢者が利用できるよう、特別養護老人ホームの待機者解消に向けた対策についてお答えください。
 
 
介護予防・日常生活支援総合事業について。
 総合事業に移行して4カ月ですが、すでに在宅支援員の不足によって事業運営が大変厳しくなっていると事業者から声があがっています。
 
 新たに設置された「緩和型サービス」は、基本的に研修を受けた「在宅支援員」が利用者宅を訪問し、家事支援を行います。資格のあるヘルパーとちがい無資格の在宅支援員は身体介護を伴わないことから、ヘルパーよりもさらに賃金が低く抑えられます。事業所に入る報酬単価も低くなります。
 緩和型に移行する事業所が増えているにもかかわらず、在宅支援員が増えていません。市の研修会も定員を割り込んで当初予定していた人数を大幅に下回っています。
 
緩和型に派遣する在宅支援員がいない場合、事業所は報酬が下がってもヘルパーを派遣せざるを得ない、またはそもそもヘルパー不足の状況の中で介護福祉士などの資格を持った管理責任者やベテランが行かざるを得ない。報酬単価が低い緩和型へ、ヘルパーを派遣することによる事業所の持ち出しの増加が、経営を圧迫している。これがいま現場で起こってきていることです。
 
来年の制度改定では報酬がさらに引き下げられる可能性が高く、事業所運営がますます厳しくなることが予想される中で、緩和型サービスの在宅支援員不足は深刻です。
 
 事業所としての一番の願いは国が報酬単価を引き上げることですが、社会保障費抑制の流れの中で実現は困難です。であれば、事業所を守るための独自施策も必要になってくるのではないでしょうか。
 本市の要介護認定者を見ると介護度の低い要支援1・2が全体の約3割。所得では介護保険料の第1段階から第3段階までの所得の低い高齢者が4割を超えています。今後、利用料の安い緩和型を利用する高齢者は増えていくことが考えられます。
 
 総合事業は始まったばかりであり、事業所もいまはなんとか踏ん張っている状態ですが、緩和型サービスの担い手不足と報酬単価引き下げが相まって事業が立ち行かなくなれば、市の責任も問われてきます。以下、質問します。
 
一 在宅支援員が集まらず有資格者が行かざるを得ない状況が増していった場合、事業所を守るための施策の検討も必要と考えます。今後、事業所へアンケート調査を実施するなど現場の実態を詳細に把握するとともに、緩和型事業の検証と対策、改善が必要と考えます。見解を問います。
 
 
高齢者の社会参加についてです。
自治会や地域包括支援センター、校区福祉委員会などが定期的に開催する食事会などは、地域で暮らす高齢者の楽しみの一つとなっています。私の地元自治会では、うたごえサロンや「ふれ愛喫茶」があります。
普段ひとりでテレビ相手に食事をしている高齢者も、食事会に行けば友達がいて、みんなで食事しながらおしゃべりができる。楽しい時間ではないでしょうか。
 
枚方市は、ことしの8月21日から「高齢者居場所づくり事業」の補助金申請の募集を開始しています。「子ども食堂」の高齢者版のような感じでしょうか。高齢者の居場所を運営する団体に補助を行う仕組みです。
3年以上継続して事業を行う意思があること、飲食代等の実費負担を除き参加費は無料であることーなどの要件を満たした団体に対し、スタート支援として1カ所あたり20万円を上限に補助するというものです。今年度で予算1000万円。2018年度までの2カ年計画で、高齢者の居場所を市内100カ所に設置することを目指すとしています。
 
 高松市や京都市などいくつかの自治体ではすでに制度がつくられています。京都市は開設費最大20万円、備品購入費最大5万円、運営経費も週5日程度の開設で年間最大7万円補助されます。
 
 「話し相手・相談相手がほしい」と思っている高齢者はたくさんいます。高齢者同士が繋がり会える場がいつでも身近にあるということが大切ではないでしょうか。
 
一 超高齢化社会を見据え、高齢者の「居場所」設置は必要と考えます。今後、地域のさまざまな事業に対しての支援など仕組みができないでしょうか。見解を問います。 
 
 
学童保育の土曜日開所についてです。
 
 学童保育を利用している保護者へ教育委員会から「土曜日開所に係るアンケート調査」の依頼文書が配布されました。土曜日開所の検討に当たり保護者から意見を聞くという内容です。アンケートは8月28日で締め切られました。保護者からは大きな期待の声が寄せられています。
 
 土曜開所に向けた今後のスケジュールについてお示しください。
 
 
その他として、子どもの貧困対策について。
 
 厚生労働省が発表した全国210カ所の児童相談所が対応した2016年度の児童虐待の件数が12万2578件と過去最多になりました。子どもの目の前で暴力を振るう「面前DV」を含む心理的虐待が約半数を占めています。ワースト1は大阪府の1万7743件。
本市においては児童虐待に関する相談が延べ1万件を超えて寄せられています。
虐待が起きる背景の一つに経済的要因、貧困や孤立があることが指摘されています。
 
先の6月議会で取り上げましたが、大阪府が行った「子どもの生活実態調査」は、貧困が子どもの生活や健康、学習面に与える影響が大きいことを浮き彫りにしました。
 
府は、調査によって府下の傾向は示されたと報告しています。しかし、府の調査結果だけで本市の子どもの置かれている状況を本当につかんだといえるでしょうか。
子どもの貧困対策は大きな課題であると先の議会で答弁されています。本気で貧困対策を進めるならば、本市の子どもや親の状況を詳細につかみ分析してこそ、国や府と連携しながらも本市の実状に合った具体的な貧困対策に反映できるのではないかと考えます。
また実態をつかむ中で虐待の早期発見・予防にもつながると考えます。
 
本市の実状に合った子どもの貧困対策に反映するため、あらためて、本市における子どもの貧困の状態を把握するための調査の検討を求めます。見解を問います。
 
 
以上で一般質問を終わります。再質問があるときは自席にて行います。
ご静聴ありがとうございました。
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